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建築基準法の見直しを検討中 空き家活用と用途変更を後押しする方向性
カテゴリ:ベルツリーの不動産コラム  / 投稿日付:2025/11/22 12:42

国土交通省は現在、建築基準法を含む建築関連制度の見直しを進めています。
空き家の増加、建設費の高騰、人口動態の変化など、社会状況の大きな変化を踏まえ、既存の建物をより活用しやすくする方向性が示されています。

今回の見直し内容はまだ検討段階のものも多く、最終的な改正内容は今後の審議によって決定されますが、既存建築物を取り巻く制度が今後大きく変わっていく可能性が高く、不動産業界や所有者などにとって注目すべき動きとなっています。

以下では、現在議論されている主なポイントと、背景にある社会課題、今後の見通しについて整理します。


■ 用途変更の負担軽減を軸とした見直しが議論に

建築基準法では、建物の用途を変更する際、一定規模以上の工事が伴う場合に「用途変更」として確認申請が必要になります。
例えば、

  • 住宅をカフェに変更

  • 事務所を住居として活用

  • 工場を倉庫に転用
    といったケースが該当します。

現行制度では、用途変更に伴い建築基準の適合性が求められるため、場合によっては大規模な改修が必要となり、時間・コストの負担が大きくなります。

こうした課題を踏まえ、国は
「小規模な用途変更について手続きを簡略化する」
方向で議論を進めています。

これにより、空き家や築古物件を店舗や小規模事業の拠点として活用しやすくなる可能性があります。
現時点で具体的な基準緩和の内容は確定していませんが、用途変更の柔軟化は今回の見直しの大きな柱のひとつとされています。


■ 小規模改修の確認申請の見直しも検討

現行制度では、

  • 間取り変更

  • 壁の撤去

  • 二部屋を一部屋につなげる

  • 内装の一部改修
    といった比較的小規模な工事であっても、状況によっては「大規模修繕・大規模模様替え」に該当し、確認申請が必要となるケースがあります。

こうした規制が、空き家の再生や中古住宅のリノベーションを妨げているとの意見も多く、国は
一定規模未満の小規模改修について、確認申請の対象範囲を見直す方向
で検討を進めています。

手続き負担が軽減されれば、

  • 個人オーナーが気軽にリフォームを実施できる

  • 空き家の再生プロジェクトが進みやすくなる

  • 築古物件の活用が進む
    といったメリットが期待されます。

これについても、詳細は今後の審議の中で詰められることになります。


■ 空き家対策との連動で「使わない住宅」の減少を目指す

2023年の空き家法改正では、管理不全空き家に対する指導・勧告が強化され、固定資産税の住宅用地特例の解除など、所有者に対する管理責任が明確化されました。

今回の建築基準法の見直しは、この空き家政策と連動し、
「空き家を活用しやすい環境を整える」
ことを目的としています。

空き家問題は住宅だけでなく、商店街・郊外団地・地方都市など日本各地で深刻化しています。
これに対し国は、

  • 活用のハードルを下げる

  • 安全性を確保する

  • 長寿命化を促進する
    といった観点で制度全体の見直しを進めています。

空き家の用途転用や軽微な改修がしやすくなることで、放置される住宅が減り、地域の景観や防災面にも良い影響が期待されています。


■ 背景にある社会状況:なぜいま見直されているのか

今回の建築基準法の見直しの背景には、日本社会の複数の課題が複雑に絡み合っています。

● 1. 空き家の増加

総務省の調査では、空き家は全国で約900万戸。
地方だけでなく都市部でも増加傾向です。

● 2. 建設費・人件費の高騰

近年は資材価格の上昇、職人不足、物流コストの増加などにより建設費が大幅に上昇。
新築住宅の価格が高止まりし、既存建物の活用がより重要になっています。

● 3. 人口減少による住宅需要変化

世帯数が今後減少していく中、新築を大量に供給するモデルは現実的ではなく、ストック活用へ政策が転換しています。

● 4. 老朽化建物の増加

築40年以上の住宅が急増しており、これらをどう再生するかが社会的課題になっています。

こうした課題から、国は 建物を「壊す時代」から「活かす時代」へ 移行する必要があると判断し、建築基準法や関連制度の見直しに取り組んでいます。


■ 今後のスケジュールと見通し

建築基準法の具体的な改正内容は、

  • 国土交通省内での検討

  • 有識者会議の審議

  • 省令・政令の案作成

  • 国会での審議
    を経て決定されます。

現時点では方向性が示されている段階で、詳細な基準や対象範囲、施行時期などは今後の審議で固まる見込みです。

しかし、既存建物の活用を促す政策が進むという大きな流れは、今後も継続すると考えられます。


■ まとめ

建築基準法の見直しは、空き家の活用や用途変更、小規模改修の負担軽減など、既存ストックをより有効に活用するための仕組みづくりを目指して進められています。
制度内容はまだ検討段階ですが、空き家対策の強化や建設費の高騰といった背景を踏まえ、既存建物への関心がさらに高まることが予想されます。

今後発表される制度詳細に注目が集まりますが、既存建築物を取り巻く環境が大きく変わる可能性があるため、不動産所有者や事業者にとって引き続き注視すべき動きとなっています。

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